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「膨らむ、デジタル創造力」

<2004,1,27 東京新聞>




 コンピュータを使った「モノづくり」で子どもの創造力を高めようという取り組みが、学校教育現場などで本格化しつつある。子どもの創造活動を支援するNPO(民間非営利団体)が都内で開いたワークショップ(参加型表現活動)イベントで、最先端のデジタル技術を駆使した「学びの場」を見た。
 
 小学生たちがパソコンに向かって楽しそうに制作しているのは、3次元(立体)のCG(コンピューターグラフィックス)だ。「上面」「正面」「側面」の3図面が表示されるソフトを使い、自分の描いたイラストを立体化していく。指導したのは、CG講座を各地で開く、「ZOU STUDIO,Inc.」(目黒区、アドレスはwww.zoustudio.com)。

 代表取締役アーティストの江口響子さんは「難しいソフトなのに、子どもたちはあっという間に立体を頭の中で把握する」と、その上達ぶりに驚く。「3次元の感覚を養うのは、早いほどいい。建築家などさまざまな仕事の先端技術に結びついているので、子どもの可能性が広がる」

 カラー粘土を使ったアニメづくり「クレイアニメーション」を教えたのは、各地で子ども向けマルチメディアスクールを展開する「フューチャーインスティテュート」(渋谷区、www.futurekids)。
 粘土で作った人形を少しずつ動かし、コマ撮りした画像をパソコンで編集して物語をつくる。蛇と戦士が戦うアニメをつくった荒川区の小学校3年生、西沢佳唯君(9つ)は「できあがった映像は、想像していたのと全然違った。難しかったけれど楽しかった」と興奮気味に話してくれた。
 同社取締役の木下修さんは「これからの情報化社会では、コンピューターを使うセンスがないと、生活すること自体が大変になる」と指摘。人形を手づくりするのは、デジタル作業に偏らず、手の感触を大切にしたいからだという。「大人はこんな人形をすぐにつくれない。子どもはすごい」

 コンピューターを使った授業を研究している教師らのグループ「D-project」(デジタル表現研究会。千代田区、www.d-project.jp)は、「連画(れんが)・絵のリレー」を披露した。ほかの人が描いた絵の中から、気に入った部分をコンピューター画面上に取り込み、それを「イメージの種」として自分の絵をつくる。色彩感覚が人それぞれ違うことに気づいたり、共同作業に参加する楽しみを味わることが魅力という。 
 グループ統括の中川一史・金沢大学教育実践総合センター助教授は「情報教育の場では、デジタル機器を使いこなす教師と、そうでない教師との間で格差が拡大している。ワークショップなどを通じて、子どもたち情報活用能力を高める授業を提案したい」と話す。

 こうしたデジタルメディアをはじめとした14のワークショップが紹介された催しが25日、「ワークショップコレクション2004」と題し、港区内で開かれた。小学生以上の子どもたちと保護者ら400人以上が参加した。

 主催した「CANVAS」(港区赤坂、www.canvas.ws)は、子ども向け創造活動の普及を進めようと、教育やIT関連企業、行政の関係者らが2002年秋に設立。各種ワークショップの開発などを続けている。
 
 副理事長の中村伊知哉・スタンフォード大学日本センター研究所長は、「デジタル技術の発達により、自分でつくったものを世界に向けて表現・発信できる世の中になった」と話す。「大人たちにできることは、技術と場を提供すること。これからの『デジタルの千年』は、子どもたちがつくっていくんです」

 会場でデジタル機器を自在に操る子どもたちの姿が、その言葉を裏付けるように生き生きとしていた。